犬小屋にネコ

ぐうたら図書館員がおくる猫の話。映画や本の話などもたまに。

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横になっている祖父の布団の上に着物や杖を置き、これは三途の川を渡るのに必要なのだと教えてくれたのは、たぶん葬儀屋さん。
特に扱いがひどいとか、心がこもってないと憤慨したわけでもないけれど、
その手馴れた様子に「流れ作業だなぁ」と感じた。

モントリオール世界映画祭でグランプリを取って、じんわりロングランを続けている『おくりびと』
本木雅弘弘演じる主人公は、長年の夢を実現させてオーケストラのチェリストとして活動し始めたばかりという時に、突然楽団が解散。
空しく残る高級チェロ。
ああ・・・田舎へ帰ろう。
と、広末涼子演じる妻と共に実家のある山形へ帰省する。
就職案内を見て訪れたNKエージェントという会社のうさんくさい社長のペースに巻き込まれ
どんな仕事かもわからないまま納棺の仕事をすることに。
そして社長の気持ちをこめた”旅立ちのお手伝い”を見るうちに真の納棺師となっていく。
というはなし。

父は幼い頃に女と消え、母はすでにいない。
父への恨みとも寂しさともつかない気持ちと、母をひとりで逝かせてしまった思いがいつも主人公の心にあるのだろうか。
だけどそれも仕方がないこと、と達観している主人公をユーモアをこめてモックンが演じる。
この方、安心してみていられる俳優さんです。

さて納棺師とは、この映画では葬儀屋のさらに下請けにあたり亡くなった方の体を清めて化粧をし最後に家族がお別れをする準備を整える仕事をする人です。
うちの祖父母の時はそのような人はいなかったから、これは東北地方特有の仕事なのか。
それともうちの地域では消滅してしまった職業なのか。
どちらにしろ、こんなに丁寧に美しくしてもらえた人は幸せな最後だろうと思う。
と聞くと、なんだか和やかで落ち着いたお葬式を想像するだろうけれど
現実の死を想像してみてください。
いがみ合いの中のお葬式、悲しみで怒り出す家族、孤独死の遺体、自殺した人など
いろいろです。
納棺師も大変です。
だからこそ高給をもらえるのだけど、そこだけをみて「金のためにやる汚い仕事」と思う人もいる。
死は誰にでもおこることなのに。

ところで、山形いいです。
主人公の友人の実家が経営する銭湯や会社の温室もとてもよい。
古くて暖かい、ロケーションが最高なのです。
ロケハン楽しかったでしょうねぇ。
自然の中でチェロを弾くシーンは、気持ちがよさそうで一緒に風の中でゆったり。
山が近くにあるというのは、人の心を落ち着かせそうだな。

いくつもの死と出会って、主人公自身も自分の過去と向き合い新しい自分になっていく。
死は悲しいけれど、きちんとその死と向き合ったなら乗り越えていかれるはずなのだ。

滝田洋二郎監督作品
本木雅弘・広末涼子・山崎努・余貴美子

さて私のもうひとりの祖父のお葬式では、
遺影を見ては泣く→久しぶりに会えたね!と喜び笑う→式でまた泣く→夜は酒盛りで笑う→おじいちゃーん泣く→・・・
を親族みんなで繰り返し。
最終的には、「おじいさんがみんなを会わせてくれたんだね。」といって、盛り上がる。
そのみなさんの感情の起伏を呆然と見ていたお子様の頃の私ですが
その後のもう片方の祖父&祖母の式を経験し、大往生のお葬式には悲しい別れだけではない
何か味わい深いものがあり、実は結婚式より楽しいかも。
結局、観た。
なんだ。
こんなことなら、躊躇せずさっさと観にいっていればよかった。
と、思うくらい久しぶりに映画館で観た宮崎作品はよかったのであった。

宮崎駿が今ほど知名度のなかった頃。
秘かに話題の『風の谷のナウシカ』が終わってしまう、と新しくなる前の文芸坐へ連れられていった。
『カリオストロの城』との二本立てで、混んでいる映画館の扉をそっと開けると満員立ち見の大人たちの隙間から、ロープにぶら下がっているルパンが見えた。
終わって出てくる人はみんな大人。
なんとか次のナウシカを観ようと中へ入るが、やっぱり席はなく。しかも通路にも人が立つくらい混んでいる。そしてそれも大人ばかり。
親切な誰かが席を譲ってくれて母は弟を膝にして座り、私はずっと横に立って観ていた。
あれから何度もナウシカを観たけれど、実は最初に観た感想は覚えていない。
たぶんメーヴェに乗りたいなぁとかそんな感じだっただろう。
それよりも、真っ暗な映画館でスクリーンの灯りの中、横を向いたら母が涙を流していて
すごくびっくりした。

その時にはわからなかったことが、大人になってわかるようになり。
ある日ナウシカのDVDを観ていたら、なんだか泣けている自分がいてやっぱりびっくりした。

小学生がいい大人になるくらいの間、宮崎さんは映画を作り続けていてどんどん知名度は上がっていった。
たくさんの行列。好意的な批評。
でもどうだろう。
彼の伝えたかったことはたくさんの大人たちに伝わったのだろうか。

ずい分前に、たしか人類の未来だかこれからの世界だかをテーマとした作品展示をみた。
その中で宮崎さんは作品を作成せず、人間に対しての諦めや嘆きを文章にして提示しただけだった。
映画を観たその時はすごいよかったと言うけれど、自分のメッセージが観た人の実生活に反映されていないことに寂しさを感じているように思えた。
森はなくなるし空気は汚くなるし殺伐とした世の中はなんも変わらんのだよ、どうせ。
というような。

それからも映画を作り続けた宮崎さんがたどり着いた、<悟り>が『崖の上のポニョ』なのだろうか。
気難しく考え込んでたどり着いたのは、シンプルに。
未来は子どもにたくそう!子どもの力を信じよう!と。
観ているうちに根底に流れるメッセージはナウシカと同じなんじゃないかという気持ちになったくらい
伝えてくる重さは変わらないけれど、
理屈じゃなくて感覚で、楽しみながら深いところで響いている感じがする。
とりあえずは観て楽しんでくれればいいんだよって。

今度はたくさんの子どもたちに囲まれて映画を観ましたよ。
はじまりのジブリマーク(トトロの絵)に「あ!ととろ~」と誰かが喜んで、
ポニョがハムを食べちゃったり水をかけたりするたびにみんなコロコロとよく笑う。

想像していた以上に色が鮮やかで温かみがあった。
沈んだ家々の間を泳ぐ古代魚は、腐海を飛ぶ蟲みたいで鮮明だし。
こだわったと言われる海の青は幾重にもなって深みがある。

海を駆け回り父の心配を省みず力技でソースケ命のポニョと、心優しく礼儀正しいソースケ。
強い女の子相手でもやっぱり男は頼られて(というか、フォローして)大きくなっていくのだね。
今の私は彼らと同じ目線になることはできないけれど、
せめて海の観音様のように大らかで、ソースケの母リサのように真っ直ぐに子どもを信じる
そんな大人でありたいですね。
個人的には報われない心配性の父フジマキがとってもスキ。

突然やってきて『ポニョ』へと私を誘った母は、終映後横を向くとまた涙を流しており!
そして「おかーさんもハムだーいすき!」と帰りにハムを買ってくれたのだった。
新感線☆RS『メタルマクベス』を見る。
ああ、これにてゲキXシネ行脚も終了だ。
なんだか、悲しい。というか、もっと新しいのやって。
『吉原御免状』とか見たいのです、わたし。

さて今回は劇団☆新感線初のシェイクスピア。脚本は宮藤官九郎。主役のマクベスにあたるランダムスターを内野聖陽(”まさあき”とお読みするのです)、ランダムスター夫人を松たか子。
そして、へヴィメタでマクベスをやるという・・・

時は2206年。
争いばかりが続く世界で、混沌と荒涼としている未来。
レスポール率いる軍のランダムスター将軍は、ギターのような武器を携え快進撃を続けている。
戦いを終え城へ帰ろうとするその時、3人の怪しい婆が現れ「お前は王になる男」詳しくはこれを見ろとCDなるものを手渡す。
なんとそれは1980年代のへヴィメタバンド『メタルマクベス』のCDだった。
こ、これにうつっているマクベス内野って俺に似ている!
かくして、ランダムスター=マクベス内野と過去と未来を行き来して、小心者の男が面白おかしくそして孤独に破滅していく。

クドカン作品との相性はいいので、安心して笑って笑って笑って!
舞台での内野さんはテレビより2割増しで熱い人だった。
こんな顔してしまっていいのですか!こんな格好してしまっていいのですか?
なんだか妙に服がスケスケです!!
こちらが心配するくらいおもしろい。
そしてヘヴィメタを歌う姿もすばらしい。
まじめな顔して、「キレイは汚い、ただし俺以外♪」

もちろん歌詞はクドカン。
「リンスはお湯に溶かして使え」「あの娘のブーツは豚の耳の匂い」
気になるでしょう。

松たか子の毒っぽさも、森山未来の親の七光り演歌もよかったが
個人的には北村有起哉の舞台姿を見られてよかった。
演じる役によって自在に自分を変えていく気になる人だったのです。
線の細い肩に狼の刺青もステキだ。

今回の不幸なケモノは・・・ランダムスター夫人の瞬殺。
最初の一発目はビビって「うぉおおっ」と一人呻ってしまった。
あまりのすばやい殺っぷりで。
さよーなら、猫。さよーならー、かの有名なレッサーパンダくん。うるるー。
でもあれは、よけられない。

クドカンはシェイクスピアの世界を自分の中で上手に熟成させている。
どうしたらあんなこと思いつくのだか。
それでも見ていると以外にも原作に忠実で驚く。
そしてそれがまったく不自然じゃあない。
「二人とも悪事にかけてはまだ青いな」などのセリフ、”女の股から生まれた男には殺されない”のオチ。
シェイクスピアっておもしろい脚本を書いてたんだなぁ。
と、いまさらながらに実感。

家にかえって松岡和子訳「マクベス」を熟読してしまった。

ゲキXシネ恒例の挨拶アナウンスは・・・冠くんでした。
はて?冠くんとは?
と、思っていたら、舞台で王様付きの歌歌いとして熱唱する声に感服。
でも・・・やっぱり内野さんがよかったのだ。
もうすでにわたしの癒やしとなっている、この「あなたの・・・」
内野さんだったらノリノリでやってくれたに違いないのに。ああ、残念。

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ちょっと前に新宿バルト9で終了したゲキXシネツアー。
今度は銀座TOEIでやるというので、見逃した『アカドクロ』『メタルマクベス』を観にいくことにした。
まずは『アカドクロ』から。

物語については<アオドクロの回>で触れているのでそちらを参照にしてくださいね。
登場人物を染五郎→古田新太、鈴木杏→佐藤仁美に変えてくれればOKです。

豪華絢爛サービス旺盛のアオドクロに対して、
無駄をそり落とし骨組みがっしり重厚に仕上げたのがアカドクロ。
とのことだが、やはり見る順番は重要だ。

アカ→アオの順で見た方がよかったんだろうな・・・

アオドクロが、あまりにもインパクトが強くそして盛りだくさんだったために
アカドクロが妙にあっさりして見えた。
ちょっと物足りない感じさえしてしまった。
別にできが悪かったというわけではないと思う。
比べたりしなければ楽しく終わったのだけどねぇ。もっと力強さが欲しかったのか。
でも骨格だけで無駄を省いたわけだし。単に私の好みの問題か?

主人公捨之介とアオと違って女である無界屋蘭兵衛(水野美紀)の心の機微はこちらの方がよく描けていた。
そのために終盤の蘭兵衛の行動に納得がいく。
やっぱり好きだなんだって切ない方がね、捨之介の女好きも際立つし。

比較してみると、
女に優しく男に容赦しねぇの捨之介は、古田バージョンも染バージョンもどっちもありで、
確かに二度おいしい。
ただ天魔王さまは~、やっぱりもうちょっとお痩せになった方が・・・古田さん。
鎌ブラザーズは、アカアオどちらも文句なしで笑いで涙が出てきます。
他の登場人物もそれぞれキャストの持ち味が活きていて甲乙つけがたし。
わくわくして待った最後の百人斬りは、<染X三宅>の身軽さに対して<古田X梶原>の重厚さってとこでどちらも満足。

じゃあなんだ。
結局どっちも見ろってことかい。
そうですな。気になる方は自分の目で確認するのが一番だ。

そして今回のケモノツボはイノシシですよ。確かアオでは荒武者隊が乗って出てきたイノシシに。
アカでは惨殺です~るるる。イノシシ一家に幸あれ。

ゲキXシネ恒例のご挨拶アナウンスはもちろん古田氏。
とってもやる気なさそうに、聞こえましたが?
そして「あなたの・・・」もありましたがね。
イメージどおりといえばそうだけど、もうちょっと作ってくれるかとも期待していたのです。
NHKの「クライマーズ・ハイ」はすごかった。
そして今度は映画化。
ベストセラー→ドラマ→映画は、もう流れになってるからいたしかたない。
どうなるのかと気になりつつ、心配しつつ。

ストーリーの大筋はドラマと同じ。

1985年8月12日北関東新聞社
編集部の悠木は、以前から友人安西に誘われていた衝立岩に登るため会社を後にしようとする。
そこへ日航機墜落事故のニュースが入ってくる。
普段はどこにも属さない遊軍記者の悠木が日航全権デスクとなることになり、
怒涛の1週間が始まる。
これまでにない規模の事件とその対応に追われる新聞社で働く人たちの姿。
編集の仕事と販売の仕事。表と裏。悠木の家族関係。
その1週間に起きた出来事を、過去を振り返るように進んでいく。

悠木と子どもとの関係性と最後が映画ならではのオリジナル。
個人的にはあの最後はいらなかったかな。
気持ちはわかるけれど。
ただ、山の美しさと臨場感は映画館の大画面で見たほうが断然よい。
山の天辺を映すってことは、いったいどの高さから撮影しているのか。
とにかくすごいなぁとため息。

「大久保赤連」など世代によってはわからない言葉が出てくるけれど、
この際そこは軽く流して。
そんなことより、突然中間管理職的立場に立たされた悠木のやるせなさ、歯がゆさ。
決して間違ったことを言っているわけではない、なのに体制を重視する上司に受け入れられない。
過去の栄光にすがる上司との対立。
気持ちに嘘はないのに結果が後輩を裏切っている。
チャンスは目の前にあるのに、確証がつかめない苛立ち。

社会人なら誰でもこんな気持ちを感じることがある。

反目しあっている同期、だけどいざというときは暗黙の了解で連携プレー。
たとえいがみあっていても編集の面子をかけて販売局と対立する時は一丸となる編集局の面々たちよ!

こんな風に一致団結してがんばれたら、と思う人も多かったのではないか。

悠木さんは、ドラマでも映画でも本でも、どの悠木さんもカッコイイ。

ドラマでは佐藤浩市が演じた主人公悠木を堤真一
大森南朋が演じた社会部記者佐山を堺雅人
杉浦直樹が演じた社長を山崎努
赤井英和が演じた販売部安西を高嶋政宏

俳優はこれは自分のあたり役だと納得できることってどれだけあるのだろう。
この映画でぴったりはまったなあと思ったのは高嶋政弘の演じる安西だ。
高嶋兄の演技を実はそんなに上手だなぁと感じたことがないのだけど、
その茫洋とした目、まじめバカで仕事でも汚れ役をかぶってしまう姿、そしてなにより山男。
今回ばかりは本当に安西だった。
その息子の小澤征悦もどこまでも登って行ってしまいそうで、この二人は山男はまりますね。

堺雅人の鬼気迫る感じ。一緒に事故現場まで登る記者の震え。
実際にあんな悲惨な現場を体験したとしたら、正気ではいられないだろう。
そして被害者の遺書、これは何度見ても何度読んでも、泣く。
鬼の目にも涙させたいなら、日航。
自分だったらあんな時、何も書き残すことなどできないだろうと思う。

楽しみにしていた(実はここが一番見たかった)
最後の編集対販売の押し合いへし合いはドラマ同様
男だ!男のドラマがここにあるぞ~!!
と、熱く心沸き立ちましたよ。

しかしそこで、その熱い盛り上がりの中にふと目に入る、
ぬめっとした黒い物体が・・・嫌味な販売局長皆川猿時。
いやーな感じ。ガムの噛み方。さすがです。上手です。

クライマーズ・ハイ@映画生活
原田眞人監督作品

クライマーズ・ハイ (文春文庫)クライマーズ・ハイ (文春文庫)
(2006/06)
横山 秀夫

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torota

Author:torota
寒いとつい、家でゴロゴロ。
お外にでようか、ぬくぬくしようか。

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