犬小屋にネコ

ぐうたら図書館員がおくる猫の話。映画や本の話などもたまに。

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テンペスト  上 若夏の巻テンペスト 上 若夏の巻
(2008/08/28)
池上 永一

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テンペスト 下 花風の巻テンペスト 下 花風の巻
(2008/08/28)
池上 永一

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予約を入れて何ヶ月?
図書館でやっと来た本を手に、なのに最初はあまり進まず。
入っていくまでが大変だった。
しかしこれは私が、自分の想像と違っていたことに対して違和感があったから。なんというか、この作品をもっと歴史小説として硬さのあるものだと思い込んでいたのだ。
なので読み始めて???
ずいぶんと、読みやすい文章ですな。

琉球王国第二尚氏王朝末期、運命を背負った子どもが生まれた。天才的頭脳を持つが女であるため勉強することを許されず、男の子を望んだ父には疎まれる。
薩摩藩の侵攻と中国の冊封体勢にはさまれて混迷する国を救いたい、そして子どもが科試に受かり王宮勤めをするのを願う父の期待に応えたい!と、少女が宦官として生きることを決意した・・・

まあ、詳しくはweb角川をみてください→http://www.kadokawa.co.jp/tempest/

難儀していた割にはこれだけ待って借りたのだからと粘って読んでいくうちに、主人公の真鶴(まづる)が孫寧温(そんねいおん)として王宮にあがるあたりから面白くなってきた。

確かに、好機もピンチも結局は主人公の都合がいいように進んでくし、いくらなんでも大人になれば宦官姿はばれると思うの。なにより私はあの主人公に感情移入ができない。
ええ、だって。頭が良くて綺麗で男にも女にも惚れられて・・・なんて、ねぇ?!

しかし、まわりのキャラクターがすごいのだ。
濃い。ものすごく、濃い。
本場の宦官・徐丁垓(じょていがい)は気持ち悪すぎる。
目的には手段を選ばない聞得大君(きこえおおきみ)は、王族神から転落人生。でも、一番魅力的で好き。
宦官であるはずの寧温に想いを募らせひたすら悩める朝薫(ちょうくん)には同情しかり。神童なのにいつでも朝薫が二番手なのもかわいそすぎる。
爽やか薩摩武士朝倉殿は、あ、ありえないくらいカッコイイ。

まあ、もっとたくさん出てくるので詳しくはweb角川をみてください。(人物相関図あり)

確かに読み口は軽い。そしてライトノベルというにはおやじ臭い。
内容はライトノベル「彩雲国物語」と少々かぶるけど、あれははっきりとライトノベル。
では、こちらは装丁うんぬんはおいといて、ライトノベルと呼ぶには何かが違う。
それはきっと琉球の歴史についての裏打ちされた確かさ。作者の知識の豊富さ。
これだけ大風呂敷を広げても、うまくつじつまがあっていくなんてスバラシイ。
琉球の政治家の仕事っぷりを見れば、日本の政治に腹が立ち、
美ともてなしの心を忘れた今を思うと、琉球のすばらしさが際立つ。
なにより作者が琉球を愛しているのだなぁという思いが伝わってきて、それでもなおこの形態で描かれるということはそこに作者の確固たるなにかがあるのだろう。
琉球側から見た日本、薩摩という視点も個人的には新鮮で、沖縄を日本の一部とあたり前のように感じているけれどそれには侵略という歴史があったと改めて気づく。
篤姫が大奥へ行っている頃、薩摩はこんなことしてたんだな。

これ、大河ドラマになりますよ。きっと。
その際は儀間親雲上(ぎまペーチン)は、ぜひミッチーで!
配役考えると楽しくなっちゃうのもこの小説の魅力のひとつ。

読み終わりは爽やかに。
でも、年取ってもあの若さ、美しさの真鶴さんっていったい・・・男の願望だろうか?

琉球に触発されて、こんな関連本まで読んでしまった・・・

⇒続きを読む

いったい全体どうしてこんなことになったのか。
”至高の恋愛小説””静かに溢れだす官能”そんなジャンルに手を出すことになろうとは!
タイトルの威力はすごいのであった。

この本を手に取った理由はただひとつ。
「キジネコシンジュウ」

ね。取らずにはいられないでしょう。

もちろん私にだって、猫が心中する話じゃないってことくらいわかってました。
いくらなんでも。
井上荒野の著作は未読だけど、どんな話を書いているかくらいは知っていた。
猫によって官能の道へとすいよせられるとは。
あたかも主人公のふたりのようだ。

心に鬱屈をもった男女が猫によって出会い、別れる。
女性視点で始まる前半から後半の男性視点になって、あぁあの時男はこう思っていたんだなとわかる。
終始、どす黒く渦巻く感情をもてあましている男。
諦めと忍耐の生活からふと逃げ出したくなる女。
恋愛小説って<ふわふわ恋に浮き沈み>ってものじゃなく、こんな風に摩訶不思議な生々しさと苦々しさをともなったものなのだろうか。
それでいてまったく現実感がない。
それは、私が現実に恋愛に遠い人間だからなの?・・・。

どちらの人間にも感情移入できないのに、だからこそ惹きつけられてしまう。
フィクションの世界から何かをじわじわ発している。
そんな重力を感じた小説でありました。

その中で唯一、理解できたのが<ヨベル>
雉猫くんだ。
窓の外でそっと餌をまつヨベル、怖い人間に追いかけられてパニックになる雉猫、猫のために夫に内緒で餌を用意してしまう女。
猫を間に挟むと、私にとってリアリティのない男と女が少しだけ近しい存在になる。
<ヨベル>。なんて素敵な名前をつけてもらったんだろうね。

雉猫心中雉猫心中
(2009/01/22)
井上 荒野

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相変わらず宮部みゆきは出せば出る。図書館の予約トップリストを見ると1位だけど・・・予約件数200件台に「少ないなぁ」と感じるのは自分が麻痺しているからか。
現在500件台の湊かなえ「告白」に比べたらそりゃあ少ないが500が普通じゃないだけなのだ。
こんなことを書いたら、また図書館に複本を置くのは嫌よなんて言われてしまうでしょうか。

とはいえ私はあまり熱心な読者ではなく。なんとなく手に入ったので読んでみた。

英雄の書 上英雄の書 上
(2009/02/14)
宮部 みゆき

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英雄の書 下英雄の書 下
(2009/02/14)
宮部 みゆき

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小学五年生の森崎友理子を突然襲った事件。
兄の大樹が同級生をナイフで刺して逃走したというのだ。
快活で優秀だったおにいちゃんがなんで?
呆然とする彼女に本が囁く、「彼は<英雄>に魅入られたんだよ」
かくして、本たちの力を借りてユーリは兄を捜す旅に出る。
すべての物語が生まれそして帰る<無名の地>から書物の中の世界まで。
宮部みゆきのがっつりファンタジーです。

新聞に連載していたのだから、一応対象は大人なはずだが、大人相手としてこのファンタジーはどうだろう。
この世の善と悪、裏と表、すべてはひとつ。紙一重なのだということ。
それをあえて伝えるならば、子どもを対象としているようにも思える。
まあこの装丁で子供向けってわけにもいかないけれど。
とにかく、世界観が複雑に説明されているのでわかりずらい。
でもこれもっとわかりやすく説明できるはずだ。
物語を紡ぐ者は咎人。つまり自分たち小説家を始めとする紡ぐ者が、その想像や思いで作り上げたものがいかに無責任に人に影響を与えているのか。
良い影響だけでなく悪影響も発していることへの罪悪感をもたなければいけない。
そういったことを考えて、作り出したのだとしたらもっと重厚に書き上げても良かったように思う。

結局のところ、ゲームのように都合よく進む展開が、伝えたいこと(それが物語うんぬんについてだとしたら)をきっちり伝える役割をしていない。
単に楽しいファンタジー小説を書いているのだとしたら、無駄に繰り返す<輪><領域>などの説明は簡単にした方がいい。
子どもが子どもにナイフをむけるというのは導入でしかなく、この話の中でそれについて深く考えさせられることはない。
書物がもつ力に善悪があるというテーマは面白かったのに残念だ。
本が話しかけてくるとか、個人的にはいいなぁって思うんだけど。
だって話したいし、魔法とか教えてくれたらラッキーでしょ?
でもそれってもしそうだったらいいな、くらいのものであり。
あえて物語る責任に触れたのだったなら、もちっと責任のある紡ぎ方をしなければ。
このテーマ、伝わることがないんじゃないだろうか。

いったいなんでファンタジーだったんだろう。
やはり、書きたかったんですよねぇ。

ところで図書館で働くものとして気になるのが、上巻のp296
<前後の本の分類番号をチェックして、その間の、抜けているのが焼けた本の番号だ。図書館コンピュータで検索してみればいい。>という部分。
図書館で1冊だけ不審な焼け方をしていた本を探すために主人公がとった方法なのだが・・・
そんなことってできるんだろうか?
と自分の知識に不安を持ち、同僚に「こんなことできないよね?ね??」と確認してしまった。
うー、いったい宮部さんはどこらへんの情報からこの記述にいたったのか。
よほど小さな図書館でない限り同じ分類番号を持つ資料はたくさんある。
ひとつということは、ほぼありえないのだ。
しかも、ここでとりあげられている5門家庭関係はさらに多い。
図書館システムでの検索も大まかな主分類で絞ることはできても、<こことここの間の分類>といったピンポイントな捜し方はできないはずなのだけど・・・
しかも、使用不能になった本のデータは除籍するのが普通だし。
うーむ。
これもファンタジーの世界ってことでOKってこと?

聖域聖域
(2008/05)
大倉 崇裕

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寒い季節に寒そうな本を読む。
冬山小説はやはり夏に読むと感じが出ないでしょ。
ということで「聖域」
大学で作者は山岳系同好会に入っていたのだそうだ。
これは臨場感とかリアリティとか期待できるぞ。

主人公草庭は過去の事故以来山に登ることを避けていた。
ある日、山岳部の親友でライバルの安西が塩尻岳で滑落したことを知る。
あれ程の実力のある安西が何故塩尻岳で死んだのか。そこは、安西の彼女が死んだ山でもある。
自殺なのかそれとも他殺なのか、調べていくうちにもう一度山と向き合うことになる草庭。
自分の苦い過去と偶然手に入れた未来の切符。
そして安西。
さあ草庭くん、どうする?!

山岳ミステリーを読んだことがないので、これがいいのかどうか・・・
多分に2時間ドラマ的ではあった。
冒頭の安西と草庭の登山シーン、縦走や風の影響、山の描写は気持ちよく読めたのに
どうにも謎解きになるとぼやけた感じがする。
筋は通っているんだけどなぁ。
事件が起きた原因が真に迫ってこない。
それでも再び山に還っていくまでの草庭の長い逡巡と周りとの人間関係はそこを補うに足るのでしょう。
だからこそ、図書館でもかなり予約ありました。

「聖域」が初の山岳ミステリーへの挑戦だった作者の山岳ミステリー第二弾出てたんですねぇ。
生還 山岳捜査官・釜谷亮二
今回の話に出てきた山岳遭難救助隊隊長の松山さんが出てくるみたいで、ああ読んでしまうかも。
謎解きはいまいちとか言っておきながら!
だって松山さんはカッコイイのだ。きっと。
きのうの世界きのうの世界
(2008/09/04)
恩田 陸

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<世界>つながりで、またしても恩田陸。
似たような時期に発行されたし、関連ありなのかと思って図書館で予約してみたものの「不連続の世界」とはまったく別ものでした。

どんな話か、うまく説明できる自信がないので講談社に語らせてみると・・・

ファン切望の最新長編!!
誰も予想できない結末が待っている!!恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満ちた世界。

塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。1年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか?

あなたは水無月橋について考えている。これから行くその場所、殺人現場であるその橋のことを。バス停に捨てられていた地図には、赤い矢印が付いていた。まさにこれからあなたが行こうとしている、水無月橋のあるところに。印の付いていた場所で死体が見つかったことで、人々は想像をたくましくした。――<第1章より>

「これは私の集大成です」――恩田陸
             講談社サイトより

 
これこそ作者独自の世界、どのジャンルともいえず作家の赴くままに展開され、ついていける読者だけが受け入れる本だろうな。
恩田陸好きにはまさにそのワールド全開なので、うれしい1冊かもしれません。
それにしても誰もに受け入れられるには難しいと思うのに、なぜ直木賞候補になったのか。
謎。
集大成というだけあって、広げてます。どこまでも広がって・・・ああ!そこに着地。
確かに、わたしには想像できないラストでありました。

ひとつの事件をいろんな人の視点でのみ語っていくのは読んでて惹きこまれた。
第一章の<あなた>視点は身の置き所がなく気持ち悪く、読むの止めようかと思ったけれど。
とにかく、想像力を試される気がした。
想像力の乏しいわたしとしては、気合を入れてあれこれ考えたのだけど、
結局こうなのかと思うと少し肩透かし。

torota

Author:torota
寒いとつい、家でゴロゴロ。
お外にでようか、ぬくぬくしようか。

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