犬小屋にネコ

ぐうたら図書館員がおくる猫の話。映画や本の話などもたまに。

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偶然にも自らチケットを取らずして、初ナイロン100℃体験することになった。
事前情報まったくなし。
ただただ、ナイロンは長いよ、ということだけ聞いた。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ演出「シャープさんフラットさん」

結成15年記念公演にあたる今回のテーマは「笑いと人生」
同じストーリー、同じセットで2パターンという大盤振る舞い。
ちらしにはこう書いてある
「よく、台本執筆の際に、「こうなるのもアリだし、ああなるのもアリだし・・・」と
展開の選択に迷うことがある。
そこで悩んでこそよい作品が生まれる。
でも今回ばかりはあまり悩まず、部分的にではあるが、両方選ぶことを選ぼうと思う。
二本あるからそれができる。吟味などせず、Aを一方に、Bを一方に振ればいい。」

つまり、そうゆうことです。
そしてそんな風に、同じものを別の目線でやるっていうのが私は好きなのだ。

お話は、バブル期から始まってバブル終焉とともに終わっていく。
いや厳密にはまだ続いているのだろうけれど。
幼い頃の家庭環境から<つまらないこと>で笑えなくなったある劇団の作家辻煙。
笑いにこだわり続け、<笑っていけないものなんてなにもない>という信念のようなものと
自分の笑いが世の中に受け入れられなくなっていく辛さに押しつぶされて
あるサナトリウムに逃げてくる。
そしてまあ、そこで群像劇が繰り広げられるわけです。

主役の辻煙は、
ブラックチーム:大倉孝二
ホワイトチーム:三宅弘城
そして唯一彼らだけが、自分が出ないほうの舞台にも出ている。
ふたつの一番大きな違いはブラックでは女だった小骨(という名前の登場人物)が、ホワイトでは男だったこと。
二本観た結果、最初のブラックチームではわからなかったことが、ホワイトチームで解明されていくようだった。

ところで、想像と違いましたケラさんの世界。
簡単に言うと、もっと素直に笑える(ブラックだとしても)舞台なのだと思い込んでいた。
なんていうか・・・ところどころ笑いはあるものの全体的に重くてまじめだった。
そして主人公が脳内迷宮に迷い込めば迷い込むほど、わたしの脳みそも必死でついていくため
観終わった最初の感想は、「脳がつかれた。」
2時間半で休憩なし。
そんなに長いわけではないはずなのに、おでこの上あたりがシューシューしていた。
映像と舞台をシンクロさせる演出はとてもよかった。
死んだ父親が出てくるところも好きだな。
でも、最後の場面で主人公がこれまで手がけた芝居の登場人物が出てくるシーンで、
ちょっと引いた。
突然のテンションの違いについていけなかった・・・でもそれも主人公のイッチャッタ感を出すのにはよかったのかな。

大倉煙は虚無的で乾いた風でイメージと合っていたし、
三宅煙はリアルに足掻いてる感がでていた。
あ、でも。劇団員関口は三宅さんの方がしっくりしていた。バカっぽさに安心感があるのね。
全体的にはラストの違いを含め時代によりリンクして、わかりやすくできているのはホワイトチームだったように思う。
2回目だったから思うのかもしれないけれど。

<売れないお笑い芸人と彼を天才と信じて疑わない妻>は、
自分の力量に限界を感じている夫とまったくその空気をよまず「天才天才」と言い続ける妻の心のずれとお互いの思いやりが苦い。
その夫婦をうらやむ辻煙がなす<辻煙と彼を理解できない恋人>の構図が、
最終的には<辻煙と彼の笑いを理解できる赤坂>とに変わっていくにつれ、笑いがわかりあえる者同士の狭い世界となって傲慢さがにじんでくる。

あんなにも自分を理解してくれる人を求めていたはずだったのに、彼は心から楽しいのだろうか?

タイトルの由来は、不思議キャラの劇団員関口が小学校の時に書いた作文から。
「世の中と同じように歌を奏でられない、むしろそんな世の中とずれている人の方が多いのではないか。僕はそんな人たちをシャープさんフラットさんと呼ぶ。」
長い間共にいた劇団員にも、世間と自分とのギャップを感じながら自分の世界を生きていた人間がいたというのに、しかもそれを飄々と!、それに気づきもしなかった主人公がなんだか悲しい。
辻煙と関口は実は対をなしていて、それこそ一方が選ばなかった、思いもしなかった生き方をそれぞれが生きているのかな。

そんな風に考え出すと、
あちらにもこちらにも選ばれなかった世界があるように思えて、噛めば噛むほどああスルメ的。

ところで、
先日、カフカ全集の前で立ち止まり、
フランツ・カフカ作・・・いや、イナイス・トマト作・・・「変身」
ひとり思い出し笑い。

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寒いとつい、家でゴロゴロ。
お外にでようか、ぬくぬくしようか。

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