犬小屋にネコ

ぐうたら図書館員がおくる猫の話。映画や本の話などもたまに。

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読み始めはなんだか、いしいしんじの書く感じに似ている気がした。
でもさらに進むうちにそれともまた違う。日本にはない広さを感じた。横に広い感じ。
ファンタジーのような世界、不思議な登場人物たち、に包まれたその奥底に眠るものは限りなく現実だ。あえて何かに似ているというならそれは「朗読者」なんじゃないだろうか。

1945年のバルセロナからはじまり1965年にその後の顛末を記して終わるこの物語は「忘れられた本の墓場」からはじまる。
古本屋の息子ダニエルはある日父に連れられて「忘れられた本の墓場」へ行く。そこは世間から消え去る運命にある本が最後に到達する場所。つまりこの世に残った最後の1冊が保管されている。
そして父はこう言う
「はじめてきた人間には決まりがある。どれか1冊本を選んで、その本がこの世から消えないようにずっと守っていかなくちゃいけない。」
ダニエル少年が選んだ本はフリアン・カラックスという人が書いた「風の影」だった。
この作家の本はすべて謎の男によって燃やされてしまうという。いったいどうしてそんなことになったのか、彼の最後の本を守るためにフリアンの過去を調べていくうちにダニエル自身危険に巻き込まれていく。

フリアンの過去とダニエルの現在がシンクロしていくさまは感心するばかり。特に、下巻に入るとパタパタと扉が開くように事実が符合していく。
登場人物がおとぎの世界とも現実ともどちらともいえないギリギリのラインに立っていることで、靄の中のように謎につつまれていくけれど、その奥には人間の残酷さやどうにもできない運命のようなものが詰まっている。

大絶賛だったこの作品をずいぶんと経ってから読んだわけだけど、確かに絶賛されるだけの作品。スペイン文学ってそういえば初めてかもしれない。
でもこれはミステリーではないと思う。「このミス」とかにランクインされているのは謎です。

風の影 上
カルロス・ルイス・サフォン著 / 木村 裕美訳
集英社 (2006.7)
ISBN : 4087605086
¥780


風の影 下
カルロス・ルイス・サフォン著 / 木村 裕美訳
集英社 (2006.7)
ISBN : 4087605094
¥780

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寒いとつい、家でゴロゴロ。
お外にでようか、ぬくぬくしようか。

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