犬小屋にネコ

ぐうたら図書館員がおくる猫の話。映画や本の話などもたまに。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
天国の発見 上
ハリー・ムリシュ著 / 長山 さき訳
 
天国の発見 下
ハリー・ムリシュ著 / 長山 さき訳


読み終わって達成感みなぎった。
それは自らの知識不足がなせるわざなのだけれど。
ユダヤ人の母とナチス協力者の父を持つオランダの作家ハリー・ムリシュ。彼が65歳の誕生日に65歳で亡くなった父を越えた特別な日として、65章からなる小説を発表。自伝的要素の強い作品。

神をも恐れぬ科学をもった人間たちを天上から見つめる天使。ある任務を完了した天使がその結果を報告するという形式で物語は始まる。
言語学、建築学、哲学、天文学、音楽など複数の視点が織り交ざり、そこに第二次世界大戦でのユダヤ人迫害も絡んで話は進む。そしてそれらはすべて<運命の子>と<その使命>とに結びついている。
難しくて意味不明な箇所もあったけど、そこは上澄みだけを吸収しさっさと読み進む。知識部分に引っかかっていると先に進まない。大筋を追っていかないと乗り遅れちゃう。
贅沢をいえば、オランダの政治情勢などについての注があったらなおよかったな。
キリスト教の歴史や謎解きはダビンチ・コードと比べることすらできません。

運命の子クインテンのふたりの父天文学者のマックス・デリウスと言語学者でのちに政治家のオノ・クイスト。父ふたりのユーモアたっぷりの会話は魅力的だ。
知識があるってことは、世界が広がることなのだとわかりきったことをしみじみと。ゆえに私はかなり損してる。
文章表現がとてもうまくて、さすがだなぁと思う。例えばマックスの家にアダ(運命の子の母になる)がいる様子を<人間に秘密を持たない犬がいるのではなく存在そのものが秘密である猫がいるようだ>なんて表している。単に<猫>とするだけじゃなくて、猫そのものを表現するいいまわしが言い得て妙だと思いませんか。
ピンポイントな言葉ではなくて、ひとつのことを別の何かを例えて表現する。普段いかにものをよく見て生活しているかがわかります。自分もそうしたいのだけど中々言葉が浮かばないのです。

すべてが過不足なく収まるところに収まっている感じがする。
最後の最後の展開は、そうきたか~・・・と複雑な気持ちだけど、相手は天使が使わす運命の子クク(クインテン・クイスト)なのだから、収まるところに収まるのです。

本らしい本読んだなぁ。充実。
何年後かにまた読みたい作品です。それまでに知識ついてるかな?

翻訳者の長山さんのサイトオランダ日記で舞台となった場所の画像がアップされています。想像力の限界が来てたのでちょっとうれしい。

やはりオランダに住んでいる方のblogDordrecht便りでは、作者について触れられています。

コメント

こんにちは。
とても、面白そうな本ですね。今度、読んでみたいと思います。

>キリスト教の歴史や謎解きはダビンチ・コードと比べることすらできません。

楽しみです。ステキな本のご紹介ありがとうございました。

>toshiさん
長いですが、お時間のあるときにぜひ読んでみてください。私は「ダビンチ・コード」は後半だれてしまってあんまり…だったので、この本は面白かったです。
人によって感じ方は違うと思いますが読み応えがあるという点は変わらないと思います。
こちらこそコメントありがとうございました。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://torota.blog31.fc2.com/tb.php/140-bdbb8cd2

torota

Author:torota
寒いとつい、家でゴロゴロ。
お外にでようか、ぬくぬくしようか。

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。